けり ける けれ 01-001

2021-04-13

「き(過去の助動詞)」や「く(来)」と現存をあらわす「あり」が共存してできた助動詞。時間や距離を飛び越えて、今ここにという感覚。物語の冒頭にしばしば現れ過去をこの場に呼び起こす。文中では忘却していたことがらを今に生起させる。物語冒頭の「けり」は、物語を読み始めた読み手の実時間と物語が語り始める語り手の時間を同期させる力を持つ。
なお、和歌にもよく現れ、詠み手が言葉に籠めた感動を読む者に呼び覚まし魂を揺さぶる働きをする。歌以外で用いられる「けり」は物語内の過去から物語の現在に至る継続的用法か、思い出しの「けり」である。


いづれの御時にか 女御更衣あまたさぶらひたまひけるなかに いとやむごとなき際にはあらぬが すぐれて時めきたまふ ありけり

いづれの御代とも申しかねますが、女御更衣があまた宮仕えなさっているなかに、取り立てて高貴ではないお方が、今を時めき帝の寵愛をひと際お集めになっておられました。

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